片山吉平(かたやまきっぺい)38歳

ミステリ作家。今回の被害者作品のほとんどが他作家の盗用によるものだと悪名高い。
片山久子(かたやまひさこ)32歳

片山吉平の妻。
片山氏が盗用作家だと中傷され、ノイローゼ気味であった。
中建幹次(なかだてかんじ)34歳

中建文庫の社長の息子。片山氏とは学生時代からの友人で、片山氏のデビューからの担当編集者。
新田清治(にったせいじ)26歳

片山氏の熱狂的なファンにして作家志望。片山氏に自分の作品を読んで欲しいなどと言ってつきまとっていた。
田所稔(たどころみのる)52歳

片山氏に盗用された『のぞかれた裏窓』の作者。中建文庫と片山氏を”作品盗用”で訴えていた。
鈴木良太(すずきりょうた)35歳

片山氏に盗用された『仮面同窓会』の作者。元編集者である。
死亡推定時刻は前日の午後10:00頃。凶器は胸に刺さったままのナイフ。片山氏は、腹部と背中に傷を受け、その後左胸を刺されたと見られる。この左胸に受けた傷が致命傷となった失血死。

傷の形状から、自殺ではないと断定された。部屋の中には引き裂かれた片山氏の著書が散乱していた。これらの書籍は、片山氏が他作家の作品を盗用したと言われているものばかりであった。

片山氏が持っていたこの部屋の唯一の鍵は、何と、片山氏の口の中から発見された。
そして彼の右手には、彼のデビュー作品『鍵は口にある』の本から破り取られた一枚のページが握られていた……。

誰が? 何のために? どうやって? 
片山氏を殺害したというのだろうか……。
プロローグ
ミステリ作家「片山吉平」が殺害された。
片山吉平氏のデビューは平成8年。デビューからの数作品はそれ程ヒットしなかったが、ここ数年他作家の作品盗用による出版物がベストセラーになっていた。

今年9月に出版された『青い砂の香り』も順調に売り上げを伸ばしていた矢先の出来事であった。

殺害現場は片山吉平の仕事部屋。自宅から徒歩15分位の場所にあるマンションの1階。死体発見は10月9日(水)昼の12:50。
久子は昨晩のうちに、片山氏から「今日は徹夜するので帰らない。明日13:00に中建君が原稿を取りに来るので、何か昼食を届けてほしい」と連絡を受けていたのだ。

中建と久子が「様子がおかしい」と庭へ回り、テラスから中を覗いたところ、室内で 血を流して倒れている片山氏を発見した。

玄関・窓・テラス全てに鍵が掛かっており、部屋の鍵を持っているのが片山氏だけで

つまりこの部屋は、いわゆる《密室》だったのである。
津久茂肇(つくもはじめ)50歳

警視庁捜査一課の警部補。
仁志岡隆(にしおかたかし)30歳

警視庁捜査一課の刑事。津久茂警部補の助手。
山岡勇作(やまおかゆうさく)59歳

警視庁捜査一課の刑事。通称 山(ヤマ)さん。
綾辻行人(あやつじゆじと)42歳

片山氏に盗用された『十角館の殺人』の作者。
有栖川有栖(ありすがわありす)43歳

片山氏に盗用された 『46番目の密室』の作者。
◆ ミステリイベントスタッフ ◆
監修:綾辻行人・有栖川有栖
企画・構成・脚本:城島和加乃
脚色・構成:かとうだい
脚本・映像監督:青柳省吾
企画制作:ミステリー99%(E-Pin企画)
協力:講談社
(C)2002. 綾辻行人 有栖川有栖 E-Pin企画
※無断複写・転写を禁じます。

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